神奈川21世紀の会:「天地人」原作者・火坂さんが講演 /神奈川
5月22日12時2分配信 毎日新聞
◇「経済と義の両立を」異業種交流を通じて地域発展を目指す「神奈川21世紀の会」(毎日新聞社主催)の第64回講演会が21日、ヨコハマホテルニューグランド(横浜市中区)で開かれた。歴史小説家でNHK大河ドラマ原作者の火坂雅志氏が「天地人を語る~直江兼続の義と愛」と題して講演し、兼続が苦渋の末に実現させた「経済と義の両立」こそ現代に一番足りないものではないかと説いた。
火坂氏は講演で、兼続のかぶとの「愛」の文字について「弱い者を守るのが上に立って政を行う者のあるべき姿だという思想の表れだった」と指摘。裏切りの 多かった戦国時代に「公のため、品格」などを意味する「義」を貫き、民を愛し、新田や金銀山の開発で財政再建を果たしたと、兼続を紹介した。
NHK大河ドラマの原作者は亡くなった人か巨匠が多いといい、現役で選ばれたのも「天が『経済と義の両立を考えなさいよ』と考えたのかな」と話した。
火坂氏は56年、新潟市生まれ。早稲田大商学部卒。別冊歴史読本副編集長を務めた後「花月秘拳行」で作家デビュー。新潟日報などに連載の「天地人」で第13回中山義秀文学賞を受けた。【杉埜水脈】
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◇講演要旨
大学時代に歴史小説サークルに入って司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」を読み感動して涙が出た。自分も書きたいと一念発起した。32歳でデビューし売れないまま60冊を超えたころ「天地人」がNHKの大河ドラマの原作に決まり驚いた。
戦国時代、内乱が続き謀略や裏切りなどがはびこる中、上杉謙信は「私利私欲でなく公のために自分は何ができるのか」と義を掲げた。謙信から武将の心構えを学んだ直江兼続も義を大切にした。
かぶとに掲げた「愛」の由来には2説ある。<戦の神・愛宕大権現>という説と、<民を愛するという意味の「愛民」>という説。前者を支持していたが、執 筆のため資料を読む中でロマンチックな後者も本当かもしれないと思うようになった。兼続の生涯を見ると「戦の神様」を掲げたというより「民を守る政をやっ ていくんだ」という表明に思える。
兼続はリストラをしなかったことでも知られる。金銀山開発や殖産興業などで、30万石の米沢藩を実質50万石以上に引き上げ財政再建を成功させた。リーダーとして逃げずに、農民と共に苦難を乗り越えた姿が好きだ。
兼続は経済と義とを両立させた。現代にはこの気位が足りないのではないか。かぶとは武士道の象徴、やっていいことと悪いことを判断する品格のこと。現代だからこそ大切にしなくてはならない考え方ではないか。【山田麻未】
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