【鉄道ファン必見】千葉・単線の旅(3)いすみ鉄道=「房総の小江戸」を駆け抜ける

9月22日13時35分配信 産経新聞
「多くの人に愛され続けてほしい」と語るいすみ鉄道の鳥塚社長=千葉県大多喜町(写真:産経新聞)
 稲が刈り取られた田んぼと林の間を、淡いイエローの車両がゆっくりと進む。一両編成の電車内は、数人の乗客を座らせた細長いイスが2列縦に並んでいた。
 早春には菜の花が線路沿い約15キロにわたって咲き誇り、それを追うようにして花開く桜も圧巻だという。

 「これからは紅葉」(いすみ鉄道)というように、季節を肌で感じることができる。

  [写真] 桜と菜の花の間を駆け抜けるいすみ鉄道

 路線の中核駅「デンタルサポート大多喜駅」に下車した。周辺地域は徳川家康の家臣、本多忠勝が初代城主だった大多喜城の城下町として知られている。

 駅近くの町は、歴史的建造物がたち並ぶ重厚な風景が見どころ。

 国の重要文化財に指定されている江戸時代の商家「渡辺家住宅」や百年以上の歴史を誇る酒屋「豊の鶴酒造」など「房総の小江戸」と呼ばれるゆえんを感じることができる。

 駅前の「大多喜町観光本陣」に立ち寄った。大学生のグループが楽しそうに土産物を探していた。大多喜城を訪ねてきたという千葉市に住む女性(22)は「大多喜町は身近なのに、のどかなところがいい」と語る。

 城とローカル線。話題の"歴女"(歴史好きの女性)や"鉄子"(鉄道好きの女性)も堪能してもらえる組み合わせでもある。

 追い風の一方で、路線自体は老朽化や利用客の減少で赤字経営に悩まされている。

 公募で就任した鳥塚亮社長を中心に、出資者が枕木に文字を刻むことができる「枕木オーナー」制度の導入や、人気キャラクター「ムーミン」を採用したムーミン列車を10月から運行させるなど経営改善に知恵を絞っている。

 もう一度、乗車した。ゆったりとした時間が流れ、千葉県の新たな魅力をまた発見した。(西川貴清)

■いすみ鉄道

 大正時代に人力で動く人車軌道線が大原-大多喜間の運行を開始したのが始まり。その後、第3セクター「いすみ鉄道株式会社」が設立され、昭和63年3月にJR木原線を引き継ぐ形で運営。上総中野から大原が上りで、1時間に1~2本程度の間隔で運行している。

■大多喜町観光本陣

 男性が興味深げに手にしているのは、大多喜町観光本陣で販売されている「本多忠勝Tシャツ」(2500円)。赤、青、白などさまざまな色をそろえており、選ぶのも楽しい。他に、しょうゆ味で甘めの味付けが人気の揚げせんべい「い鉄揚げ」(350 円)も、旅行客の人気だ。

 問い合わせは大多喜町観光本陣(午前9時~午後5時)(電)0470・82・2111(月曜定休)。

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