【ブックレビュー】秋月達郎著「信長の首」
9月30日16時57分配信 夕刊フジ
本能寺の変で自刃した織田信長の遺骸には首が無かった? 首を持ち去ったのは側近で寵愛を受けた森蘭丸なのか、違う誰かなのか...。こんな想定で書かれたユニークな時代小説。
伊賀の女忍者・楓は、荷を背負って京から逃げてきた美貌の若侍を助ける。男を「信長の首を持って逃げてきた欄丸」と思い込んだ楓は、その美貌に惹かれ、忍者の役目も忘れて肉欲に溺れてしまう。その情交の描写が極めて精緻でエロティックだ。この表題作以外では、歌舞伎の始祖・阿国(おくに)を描いた「かぶき山三」が面白い。出雲から京に出て舞を踊っていた阿国にはプロデューサーともいうべき「オトコ」がいた。名古屋山三郎である。これまた美貌の色男にして鑓の名人。山三は、阿国に刀を持たせ、若衆の姿をさせて舞台に上げた。これが大評判を取り、阿国は一躍、人気者になる。歌舞伎草創期を描いた、もうひとつのストーリー。(秋月達郎著、PHP研究所、1575円)
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