「俳優」という部署にいる喜び 「火天の城」の西田敏行

9月19日19時31分配信 産経新聞
 織田信長から安土城築城を命じられた宮大工の棟梁(とうりょう)、岡部又右衛門の苦闘を描いた映画「火天(かてん)の城」(田中光敏監督)が、全国で公開されている。又右衛門を演じた西田敏行(61)は「彼は戦後の高度成長を支えた日本人の強さの原石だ」と指摘する。

 又右衛門は、琵琶湖を望む安土山に巨大な城を建てるため、天正4(1576)年1月から完成までの3年間、延べ100万人の職人たちの総棟梁として現場で陣頭指揮を執った。

 「信長の申し入れは、きっと彼の受容力を超えるオーダーだったと思います。たじろいだ気持ちもあったでしょうけど、それを凌駕(りょうが)するほどのクリエーターとしての気持ちが勝った。職人としての喜びを感じていたのではないかと思いながら演じました」

 これまでも多くの歴史上の人物を演じてきた。今年11月からNHKで放送されるスペシャルドラマ「坂の上の雲」では、元総理大臣で二・二六事件で暗殺された高橋是清を演じる。

 「是清はドラマチックな人生で役者としては演じがいがありますが、又右衛門は想像がつかない人物でした。寡黙で目に力があり、常に手を動かしているといった、いわゆる職人さんを演じようと思いました」

 「最近、また俳優という仕事が面白くなってきた」としみじみと語る。そう思うようになったのは、6年前に心筋梗塞(こうそく)で倒れたのがきっかけだった。

 「入院しているとき、役者という仕事を通して自分を表現したいという思いが強くなった。総合芸術である映画の中で、『俳優』という部署にいることに喜びを感じています」(伊藤徳裕)

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