<サマーウォーズ>「きずな」で仮想都市に挑む、大家族の戦い 細田守監督の最新作

8月17日20時1分配信 毎日新聞
 劇場版アニメ「時をかける少女」の細田守監督が3年ぶりに手がけた最新作「サマーウォーズ」。「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターデザインを手掛けた貞本義行さんらのスタッフが再び集結。40年以上の女優人生で初めて声優に挑戦した富司純子さんや、ドラマ「探偵学園Q」などの神木隆之介さん、ドラマ「ふたつのスピカ」の桜庭ななみさんらが出演する。主題歌は、山下達郎さんの「僕らの夏の夢」だ。

 天才的な数学の才能を持ちながら、人付き合いが苦手な高校2年生の健二(神木さん)は、夏休みに日本のライフラインを支える仮想空間「OZ(オズ)」の点検をしていた。そこに、あこがれの先輩・篠原夏希(桜庭さん)から、彼女の田舎に一緒に行くというアルバイトを持ちかけられる。由緒ある陣内(じんのうち)家では、当主・栄(富司さん)の90歳の誕生日を祝うために親せきたちが集まっており、健二は、何と夏希に「フィアンセのフリをして」というお願いをされる。

 そんなある日の夜、健二の携帯電話に「謎の数字」が並んだメールが届く。数学好きの虫がうずいて、"難問"を解いた翌朝、何者かがOZの管理棟のパスワードを解き、謎のアバター「ラブマシーン」がOZを荒らしているというニュースが流れる。健二に来たメールは、OZのパスワードを解くためのクイズだったのだ。OZに制御されていた現実世界は、信号が狂い、町が水浸しになるなど大混乱に陥る。栄の陣頭指揮の下、健二や夏希らの大家族は、世界の危機を救うため、暴走する「ラブマシーン」に力を合わせて立ち向かう......という物語だ。


 物語のポイントは、「人のきずな」と「ネットワーク」というアナログ対デジタルの激突になっているところだ。OZは、情報検索などはもちろん、交通のインフラも制御している究極のネットワーク。対する陣内家は、人望の厚い当主・栄を中心に、家族という"人類最古のネットワーク"で立ち向かう。

 その二つの世界を表現したアニメーションも見どころで、極彩色の世界を数限りないさまざまなアバターが埋め尽くす仮想都市の世界と、青空と緑の山々が広がる自然豊かな長野県上田市という対照的な風景が見事に描かれている。陣内家の人々は、子供から老人まで、職業も背格好もバラバラだが、みな食べて、飲んで、しゃべって、走り回って......と画面から飛び出しそうなパワーにあふれている。細田監督は「1人で写っているシーンはほどんどありません。この作品は0歳から90歳までの家族が一つになって、頑張って何かを成し遂げるというお話。1人ではなく、みんなで頑張る幸せを共有できたらと思います」と話す。

 「『時をかける少女』で甘酸っぱい青春を描いたので、『次はアクションをやりたい』」という細田監督が自ら書き下ろしたストーリーで、仮想空間をハイスピードで飛び回る空中戦や物理法則に縛られないスーパーバトルが展開する。大坂冬の陣・夏の陣で、徳川の大軍相手に見事な軍略を見せた戦国武将・真田幸村ゆかりの地、上田の旧家・陣内家の戦いは、幸村を思わせる知謀にあふれ、ハラハラドキドキの連続だ。

 この、ひと夏の戦いは、情報化社会の中で、忘れがちなものを思い出させてくれるようだ。

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